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 理学療法は,熱,電磁気,力などの物理学的刺激をからだに与え,その生体応答を効果として用いる治療法であるといっても過言でない。特に「力」すなわち力学的刺激に対するからだの応答を期待する治療法は多い。ストレッチングや筋徒手療法,関節のモビライゼーションなどは当然のこと,筋力トレーニングも重力という力学刺激を用いた治療法である。この「力学刺激の生体応答」は,生物学,生理学,生物物理学などの自然科学や,循環器学など医学の中で「メカノバイオロジー」として発展している。

 一方,理学療法の対象は,運動器疾患,脳神経疾患,呼吸器疾患,循環器疾患,代謝疾患など様々であるが,その「力学刺激の生体応答」を与える対象器官は「筋」であることが多い。例えば,呼吸器疾患の換気量改善のために,胸郭・体幹筋の伸長性の改善を行う。循環器・代謝疾患の改善や予防のために,筋への力学刺激である運動を行う。

 これまで,筋に関わる研究は生物学,体力医学,農学などの世界で発展してきた。ただ,正常な筋の収縮メカニズム,健常筋のトレーニング,食肉資源の確保といった視点からの成果が多い。一方医療分野の筋に関わる研究は,神経筋疾患を対象とする研究が中心で,我々理学療法の対象となる萎縮や損傷などの筋病態に対する治療効果を総合的に研究する学問領域としては理学療法学以外に無いと考える。

当研究室は,「筋」に対する「メカノバイオロジー」効果を科学的視点で検証し,新たな効果的「理学療法」の開発を行う。